[感想・解説]ウルトラセブン 第42話『ノンマルトの使者』

こんにちは、おのまとぺ(゜∀。)です!!

前回に続いて水にまつわるエピソードですね!今回は海底に住むノンマルトとの闘い。

第42話『ノンマルトの使者』

登場怪獣:ガイロス、ノンマルト
登場メカ・兵器:シーホース号、ウルトラホーク1号、ハイドランジャー、ポインター、ノンマルトのレーザー銃、潜水艦グローリア号


脚本:金城哲夫
監督:満田かずほ
特殊技術:高野宏一

放送日:1968年7月21日

あらすじ

 海岸でくつろぐアンヌのところへ謎の少年がやってくる。 彼はしきりにアンヌにシーホース号による海底の開発をやめるよう頼みこむのだった。 突然のことで取り合わなかったアンヌだったが、その少年が去った後シーホース号が突如爆発炎上する。 その後少年が何かを知っている可能性を考えてダンとアンヌが捜索にあたるが行方はつかめなかった。 そんな中今度は少年から地球防衛軍の長官のもとへ電話が入る。 『海底はノンマルトのものだ。手を出したら大変なことになるよ。』 電話の声は確かに少年のものだった。 再びダンとアンヌが少年を捜していると、海辺で少年を発見する。 彼はシーホース号の爆発はノンマルトの仕業で、ノンマルトこそが地球の先住民で人類のせいで海底に追いやられたのだという。 このまま人間が海底の開発を続ければノンマルトは人類と戦うことになるというのだった。

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キャスト(ゲストのみ)

  • マナベ参謀(宮川洋一):地球防衛軍の高官。少年からの電話の録音を警備隊メンバーに聞かせる。
  • 真一(町田勝紀):アンヌに海底調査をやめるよう伝えてきた謎の少年。
  • カマタ(二瓶正也):シーホース号海底基地の係員。食事を取って上機嫌だった。
  • 校長(天草四郎):ダンとアンヌが真一を捜しに行った小学校の校長。
  • 教師(毛利幸子):ダンとアンヌが真一を捜しに行った小学校の教師。
  • 真一の母(野中マリ):海岸に着物姿で佇んでいた女性。真一についてダンとアンヌに話す。

感想・解説(※ネタバレあり)

今回は脚本が金城哲夫さんということで、やはり一筋縄ではいかない考えさせられるストーリーになっていました! 名作です!

金城さんらしい平和とは何か考えさせられるストーリー

 人類が地球上で唯一の知的生命体であることに疑いを持つ人は普通いないでしょう。 しかし、実は海底にひっそりと住まう別の種族がいたとしたら、しかもその種族は人類より先に地球に住んでいたとしたら、さらに我々人類こそが侵略者だったとしたら・・・。 突然自分たちが侵略者だったという事実を突きつけられても受け入れがたいものでしょうね。 

 しかし、このエピソードの面白いところは人類を絶対的に悪として描かず、あえて本当にノンマルトが先住民であるかもぼかしているところじゃないかと思います。 また、たとえ遠い昔に人類によって地上から追い落とされていたとしても、今回先制攻撃を行って命を奪っているのはノンマルトの方なわけです。 またシーホース号も明らかな非武装船で、侵略の意図があって海底に進出していたわけではなく、当然ノンマルトの存在も知りませんでした。 そこに突然攻撃を仕掛けた上、一方的に船を襲うなどノンマルト側の非も描いています。 そして最後のノンマルトの都市への攻撃ですね。 キリヤマ隊長は一瞬逡巡するもののハイドランジャーに積まれた魚雷で、ノンマルトたちを完全に絶滅させてしまいます。 このシーンでのキリヤマ隊長はちょっと狂気じみたところもあって、さらに観るものの倫理観に揺さぶりを掛けてきます。

 最期の部分はちょっとしたオマケだと思いますが、真一君が実は・・・ということで夏場にちょっと涼を取れる様な事実が明かされて幕となります。 さすがというべき金城イズムにあふれたエピソードでした(゚∀゚)

 ここからは蛇足になりますが、人類に攻撃を仕掛けたノンマルト達は実は主戦派の過激派だったのではないでしょうか? というのもノンマルトは真一君を使って人類に警告をあたえていたわけですが、シーホース号に関してはまだ警告を続けているフェイズで爆破されています。 なのでもしかしたら意思決定が2系統あるんじゃないかと推定できます。 またシーホース号を爆破し、ガイロスまで出した時点で人類とは全面戦争状態になるはずなのに、ノンマルトの都市が全くの無防備だったというのも違和感があります。 もしかしたらあの海底都市では穏健派が多数を占めていて人類との戦いに賛成していなかったのではないかと思います。 その為に主戦派のノンマルト達は兵器を使用することができず、仕方なくグロリア号を奪って使用していたんじゃないかと思いました。 もしそうだとしたら、独断で都市を吹き飛ばしたキリヤマ隊長の罪は限りなく重いですね・・・。

 キリヤマ隊長と『全滅』というワードは第35話の『月世界の戦慄』でも登場しました。 あのザンパ星人は自分たちの艦隊が全滅させられたことを恨み続けて、3年物時間をかけてキリヤマとクラタへの復讐の機会を窺っていました。 ノンマルトたちも生き残りがいたら復讐を考えるかもしれませんね(; ・`д・´)

今回のアンヌとダン

 今回のアンヌは砂浜で砂風呂をやっているというユニークなシチュエーションで登場します。 一瞬生首かと思った笑 そして少年に話しかけられると、Oh…水着をお召しでらっしゃる。 その後もオレンジのトレーナーや大きな白い帽子などの私服を着ていて、まるで若者の休日を見ている様ですねw また今回は眺めの髪を黒いカチューシャで留めていますが、ウルトラ警備隊の制服に着替えた後もずっとこのヘアスタイルになっています。 カワイイですね(^^) 

 ダンもフード付きのトレーナーを着ていたり、ラストではアイビーリーグ風のセーターを着ています。 こちらも若者らしいファッションで当時の学生さんもこんな感じだったのかな~と想像させてくれる衣装でしたね! これらは自前の衣装だったそうで(※1)

今回の特撮

 今回登場する怪獣はガイロスという巨大なタコの様な怪獣でした。 この怪獣は非武装船を襲うところまではよかったんですが、いかんせんあまり強くない様でちょっとかわいそうな感じでした(´;ω;`) 最初のハイドランジャーとウルトラホーク1号による海上と水中の両面攻撃では、水面に行ったり水中にもぐったりウルトラ警備隊の攻撃が効いているらしく右往左往(実際は上下ですが汗)しています。 そしてなんと死んだふりw その後はウルトラセブンが来て、ガイロスは哀れタコのぶつ切りにされてしまいます(´;ω;`) ここも何か『正義って何だろうね』ってなる部分なんですよね~。

 ノンマルトの都市を破壊する際の爆発と水柱はいままで見てきた特撮の中でもかなり大きい方の様な気がします! スゴイ迫力で、先述のキリヤマ隊長の狂気を後押しするかの様な演出でした。

トリビア・小ネタ

  • 撮影が行われたのは伊豆の入田浜(※2)

出典

※1 小学館文庫『セブン セブン セブン アンヌ再び・・・』ひし美ゆり子P.146より
※2 洋泉社『別冊映画秘宝 ウルトラセブン研究読本』P.192より

ウルトラセブンエピソード一覧

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