【あらすじ・ネタバレ・感想】『トラック野郎・御意見無用』(東映/1975年)

こんにちは、館主のおのまとぺでございます。

今回は菅原文太さん主演の東映映画『トラック野郎・御意見無用』を鑑賞いたしました。

作品情報

  • 公開日:1975年8月30日
  • 上映時間:98分
  • 制作・配給:東映

あらすじ

日本中を全力爆走して、東映の名物シリーズとなった「トラック野郎」シリーズ第1弾。11トンの満艦飾トラックのハンドルを握るのは“一番星”こと星桃次郎。続く4トン半車の相棒運転手は“やもめのジョナサン”こと松下金造。金造はやもめと自称しているものの、川崎の安アパートに女房・君江と子供7人がいるれっきとした所帯持ちである。一方独り者の桃次郎は、全財産を“1DKマンション”のトラックの中に積み込んで、何とも気ままな暮しぶりを続けている。ある日、東北のドライブインに車をとめた桃次郎は、そこにいた新顔ウエイトレス洋子に一目惚れしてしまった。それ以来、桃次郎の様子はどこかおかしい。金造は気の進まぬ桃次郎をストリップに誘うが、その小屋で知り合ったのがC調のライトマン万田千吉。だが、おだての上手い千吉にほめられて有頂天の桃次郎が彼を助手にしたことから、桃次郎と金造の仲にヒビが入っってしまう。

Amazon Prime Video より

スタッフ

  • 監督:鈴木則文
  • 脚本:鈴木則文、澤井信一郎
  • 音楽:木下忠司

登場人物

  • 星桃次郎(菅原文太):『一番星』 本作の主人公のトラック野郎。 人情に厚く喧嘩も強いが、おだてに弱い。 また一度女に惚れると周りが全く見えなくなる。
  • 松下金造(愛川欽也):『やもめのジョナサン』 トラック野郎で桃次郎の相棒。 君江との間に7人の子を持つ父親でもある。 かつては『花巻の鬼台貫』と呼ばれた警官だった。
  • 竜崎勝(佐藤允):『関門のドラゴン』 九州からやってきたトラック野郎。 ある理由があって桃次郎にトラックで勝負を仕掛ける。
  • 倉加野洋子(中島ゆたか):『くるまや』の従業員で桃次郎が惚れこんだ美女。 
  • 竜崎京子(夏純子):『モナリザお京』 九州出身の女トラックドライバー。 桃次郎に好意を抱いている。
  • 万田千吉(湯原昌幸):青森で桃次郎に拾われたお調子者。 桃次郎と千吉の仲たがいのきっかけやお京の勘違いの原因を作るなどいろいろと面倒を起こす。
  • 松下君江(母ちゃん)(春川ますみ):金造の妻で7人の子供を育てる肝っ玉かあちゃん。
  • 松岡明(夏夕介):元トラック野郎。 かつて居眠り運転で死亡事故を起こし、その賠償金の支払いに苦しんでいる。

感想

娯楽全開のコメディ映画

東映の映画はこの作品が初めてだったのですが、東映映画というと高倉健さんのシリーズや『仁義なき戦い』などのヤクザ映画のイメージが強かったので鑑賞前はかなり身構えていました。 しかし、始まってみれば菅原文太さんの不器用ながら男気溢れる桃次郎と、愛川欽也さん演じるコミカルなジョナサンの軽妙なやり取りに飲み込まれ、中島ゆたかさんと夏純子さんの美貌に引き込まれ、あっという間に映画を観終わってしまいました。 シリアス要素はほぼ無く(洋子のバックグラウンドぐらい)、娯楽に振り切った作品です。

シンプルな娯楽作品である一方で、人間模様に関する脚本が結構練られていてそこも面白いポイントでした。  ただ単に桃次郎がトラックに乗って暴れて終わりではなく、『桃次郎とジョナサンと千吉』にまつわるストーリーや『桃次郎と洋子とお京』、そして『お京と千吉』などいくつかの話が絡んで群像劇の様になっています。 それまでのヒット路線だった『実録作品』が男性ファンしか獲得できなかったのに対して、トラック野郎シリーズが女性ファンも取り込めたのはこういったところに魅力があったからなのでしょうね。

ド派手なトラックの走行シーン!!

本作の代名詞ともいえる満艦飾のトラックが爆走するシーンも見ものです。 映画のOPからド派手な一番星号とジョナサン号が『緊急車両通過します!』などとスピーカーで大ウソをつきながら渋滞を抜けていきます。 他にもジョナサン号が警察の検問に突撃するシーンや、一番星号と『関門のドラゴン』のレース、洋子を青森に送る際の警察車両とのカーチェイスなどトラックの走行シーンはかなり迫力のあるものになっています。 相当お金かかってるんじゃないでしょうか? 絶対現代では撮れない映像で迫力があります。

『寅さん』との共通点

『トラック野郎』シリーズは本来単発での制作予定でしたが、本作のヒットを受けてシリーズ化が決定しました。 シリーズの中で『主人公を中心とした人情劇』『マドンナの登場』といった寅さんと共通する要素が定番となっていましたが、それらは1作目の本作でも観られます。

また、本作以降同シリーズは正月と盆に公開されていたため公開時期も寅さんとカブっており、当時は『トラトラ対決』などと呼ばれていたそうです。 松竹映画はまだ手を出せていないのでそのうち寅さんも全作品観てみたいと思います。

マドンナと女運転手

本作のマドンナは中島ゆたかさん。 物憂げな目元にさらさらロングヘアの超美人です。 桃次郎が惚れこんでしまうのも頷けます。

 また、『モナリザお京』役の夏純子さんも可愛らしいお顔に抜群のプロポーションをお持ちの美女です。 細腕で大型トラックを乗り回す様はとてもかっこいいですね。 残念ながら本作のみの御出演。 もっと見たかったなぁ。

なお、夏さんは大映の女賭博師シリーズでデビューされてるんですね。 そっちもチェックしてみようかと思います。

それでは、また。

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