【あらすじ・感想】『新・座頭市物語』(大映/1963年) シリーズ初のカラー作品!!

こんにちは、館主のおのまとぺです。

今回は『新・座頭市物語』の感想です。

作品情報

  • 公開日:1963年3月15日
  • 上映時間:91分
  • 政策:大映京都撮影所
  • 配給:大映
  • 洋題:The New Tale of Zatoichi

あらすじ

座頭市は故郷の笠間へ向かう途中、かつて斬った関宿の勘兵衛の弟・島吉(須賀不二夫)と決闘となる。 しかし、そこに市のかつての師匠・伴野弥十郎(河津清三郎)が割って入り市を家へと連れ帰った。 そこで市は弥十郎の妹・弥生(坪内ミキ子)と4年ぶりに再会する。 時を同じくして、当時の世を騒がせていた天狗党の残党が金策のため弥十郎を訪ねてくる。 没落した浪人であった弥十郎は自分の道場に通う裕福な門弟の誘拐を天狗党に持ちかけるのだった。 弥十郎は座頭市に居合を披露させ、それを口実にその門弟を道場に呼び出すことに成功する。 その帰路で門弟が誘拐された報を受けた弥十郎は素知らぬ素振りで誘拐現場へと向かう。 その時市は弥生と二人で家に残っていたが、そこで弥生から求婚され生まれ変わるために刀を捨て堅気として生きる近いを立てる。 しかし、その直後再び島吉が現れる。 誓いを反故にしないため刀を抜こうとしない市にいら立った島吉は、サイコロで半がでたら右腕を切り落とすという勝負を持ちかける。 

感想

座頭市シリーズ3作目となる本作ですが、シリーズ初のカラー作品でありながら、作品全体としては1作目2作目に比べるとインパクトが薄い感じがしました。 弥十郎に共感できるところが少なく、天狗党も突然あらわれて悪事を働いているだけの存在になっており、悪役側の魅力が乏しく感じてしまいます。 市の過去、弥太郎と市の関係、弥生と市の関係、弥太郎と弥生の関係、天狗党の存在、島吉と市の関係などいささか要素を盛り込みすぎてすべてが小品に収まってしまったのでしょうね。 また1作目、2作目がロケーションで大規模な殺陣をやっていたのに対して、本作はセット内での撮影が多く、そこの小ぢんまりした印象の一因となっている気がします。

一方、座頭市を追ってきた島吉に関しては漢気を見せる気持ちのいいシーンがあり、これはシリーズ屈指の名場面といっていいのではないかと思います。

キャストについて

相変わらず勝新太郎さんの殺陣はキレがすさまじいですね。 今回は対ヤクザ者の殺陣だけでなく、侍との殺陣もあります。 ヤクザ者の様にめちゃくちゃな剣術ではなく、しっかり構えた相手との斬り合いはまた違った迫力があります。

河津清三郎さんは画面に映るだけで存在感があります。 眼光鋭く声も太い男らしい俳優さんですが、正直今回の弥十郎に関しては小物感のあるキャラクターだったのであまりマッチしていない感じがしました。

ヒロインの坪内ミキ子さんは宝塚歌劇団第1期生である雲井浪子さんの娘で、父親は演劇評論家、さらに叔母2人もタカラジェンヌという演劇一家のお嬢さんです。 座頭市シリーズでは後に千両首や血煙街道に出演していますが、どちらも役どころは異なり弥生というキャラクターは本作のみの登場となっています。

時代劇好きなら誰でも知っている悪役俳優・須賀不二男さんですが、今回も市を追うヤクザ・島吉役ながら劇中もっとも人間的に魅力のあるキャラクターとなっています。 いつもは根っこまで悪に染まった役が多い須賀さんですが、こういった役でも説得力のある演技で名シーンを彩っていました。

ネガティブな感想がいささか多くなってしまいましたが、市の過去に触れている作品なのでシリーズのファンなら必見の作品となっています。

それでは!!

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