こんにちは、館主のおのまとぺでございます。
本日は江波杏子さん主演『女賭博師シリーズ』第3弾『女賭場荒し』をご紹介します。
作品情報
- 製作年:1967年9月30日
- 上映時間:86分
- 配給・製作:大映
あらすじ
大滝銀子は普段は平凡なOLとして働いていたが、時折バーに繰り出しては得意のダイスで客をカモにして稼いでいた。 ある日その様子をたまたま見ていた博徒の小出鉄五郎は、銀子にばくち打ちとしての才能を見出し鉄火場へと誘う。 銀子は父親の辰吉が個人タクシーの初期投資として金を必要としていたこともあって、誘いに乗って賭場で丁半博打に挑戦する。 鉄五郎の見込み通り彼女は素人とは思えない実力を発揮し、大金を稼いで嬉々として家へ帰った。 しかし、それを聞いた辰吉は烈火のごとく怒り、銀子が勝ち取った金を手に賭場へと向かいその金を突き返し、さらにちょうどその時サイコロを振っていた鉄五郎のイカサマを見抜いて注意する。 辰吉は今は堅気だが、もともとは『昇り龍の辰』と呼ばれる屈指の壺振りだったのだ。 彼は帰り道でイカサマを見抜かれたヤクザに暴行を受け致命傷を負ってしまう。 そして、死に際に『なるなら日本一の壺振りになれ』と言い残し息を引き取った。 彼女はその約束を守るため、父の愛用していた壺を手にサイコロの修行に明け暮れた。 二年の修行を経て、彼女は賭場に赴いてはイカサマを暴いて回る『女賭場荒し』となるのだった。
スタッフ
- 監督:弓削太郎
- 脚本:長谷川公之
- 企画:斎藤米二郎
- 撮影:渡辺公夫
- 音楽:鏑木創
- 美術:山口煕
- 編集:中静達治
- 録音:高橋温生
- スチル:椎名勇
- 照明:渡辺長治
キャスト
- 大滝銀子:江波杏子
- 小出鉄五郎:成田三樹夫
- 中西秋子:高千穂ひづる
- 辰吉:加藤嘉
- 佐々木米次:桂米丸
- 米次の妻たね:都家かつ江
- 神崎武市:小池朝雄
- 尾形健:千波丈太郎
- 芸者テン子:甲千鶴
- 田島一策:水原浩一
- 田島啓次:青山良彦
- 友成庄助:飛田喜佐夫
- 蒲地源造:待田京介
- 山川孝一:橋本力
- ホステス:津山由起子
- バーテン:南堂正樹
- アルバイト学生:関幸四郎
- 救急病院の医師:竹内哲郎
- 山上:北城寿太郎
- コミセA:杉森麟
- コミセB:原田玄
- コミセC:志保京助
- 若衆:中原健
- 中年女:有島圭
感想
相変わらず江波杏子さんのキリリとした美貌が映える映画でした。 また、着物姿の江波さんだけではなく、ノースリーブにスカートという普通の若者らしい姿も見られます。 ストーリーについてはいくつか新要素はあるものの、前作や前々作からそこまで代わり映えする様なものではありません。 過去作ほどのカタルシスもなく、思い出そうとしてもイマイチよく思い出せない様な内容でした。
成田三樹夫の存在感
過去作とあまり変わり映えのしない本作ですが、逆に際立っていたのは助演の成田三樹夫さんです。 『疾風の鉄』の異名をとる博徒というキャラクターで主人公を導く様な存在になります。 着流しで眉間にしわを寄せて、低い良い声でセリフを発する様はとても存在感があります。
しかし、、、あの髪型が似合いうのは成田さんだけでしょうね。
※ここからネタバレあり
ラストが印象的です。 前作『女賭博師』でも本作と同じく賭場で胴師を務める主人公のアップで終わります。
しかし、同じ様なエンディングでも意味合いが異なり、前作の主人公・夏江は復讐を果たすも恋人を失い、結局賭場でしか生きられないという絶望の表情であるのに対し、本作では姉を失って、さらに鉄五郎に失恋し、自分の生きる道を賭場に見出した決意の表情と見受けられました。 そのため若干にらみつける様な表情をしています。 これがまた美しいです。
ちょっと物足りない作品
先述した通り、本作のストーリーはシリーズの過去作とそこまで代わり映えのするものではありませんでした。 結局父親が元胴師でその復讐をするという大筋は変わっていません。 しかも二作目『女賭博師』の父親役と同じ加藤嘉さんが演じており、デジャヴでも見ている様気分になります。
また、鉄五郎という魅力的なキャラクターと生き別れの姉との宿命的な再会という新要素こそあれ、何か欠けている感じがしました。 よく考えてみると魅力的な悪役がいなかった様に思えましたね。 1作目は立花、2作目は磯部と実に憎たらしく存在感のある悪役がいました。 そこが本作の物足りなく感じるポイントなのではないかと思います。
それでは、また。