[感想・解説]Xファイル シーズン1 第11話『イヴ』

Truth is out there!!

こんにちは、おのまとぺ(゜∀。)です!!

今回は遺伝子操作で生まれた恐るべき少女たちのお話・・・。

  • 監督:クリス・カーター
  • 脚本:ケネス・ビラ―、クリス・ブランカト
  • 原題:『Eve』

おのまとぺ的評価

  • おススメ度 ★★★★☆ 話の展開がおもしろい!
  • グロ度 ★★★☆☆ 遺体がちょっとグロいですね。
  • 謎度 ★★★★☆ 彼女たちの次なる目的はなんなのか・・・。
  • ホラー度 ★★★★☆ 超常現象ではなくとも結構怖いですね
  • コミカル度 ★☆☆☆☆ シリアスなエピソードです
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登場人物

  • フォックス・モルダー捜査官(デビッド・ドゥコブニー):FBIの特別捜査官。 局内では変人扱いされているが、非常に優秀な捜査官。
  • ダナ・スカリー捜査官(ジリアン・アンダーソン):FBIの特別捜査官。 医師の資格を持っている。 モルダーの相棒。
  • シンディ・リアドン(エリカ・クリーヴィンス)第二の犠牲者となったダグ・リアドンの娘。 カリフォルニア在住。
  • ティナ・シモンズ(サブリナ・クリーヴィンス)第一の犠牲者となったジョエル・シモンズの娘。 コネティカット州在住。
  • サリー・ケンドリック医師(ハリエット・サンソム・ハリス):不妊治療医として働いていたが、その裏で自らが遺伝子操作した受精卵を着床させていた。
  • イヴ6号(ハリエット・サンソム・ハリス):イヴシリーズの6番目。 ホワイティング医療刑務所に収容されている。

あらすじ

コネティカット州グリーンウィッチ、寒い日の早朝に薄着の少女が一人、家の外にぬいぐるみを抱えて立ち尽くしていた。 ちょうど通りがかった近所の夫婦が声を掛けると、父親が一人になりたがっていたためにこんなところで一人立っていたらしい。 訝しんだ夫が垣根の裏にある庭へと入っていくと、ブランコに腰かけた父親を見つける。 しかし、彼が声を掛けると父親はすでに息絶えていた。 死因は75%もの血液を失ったことによる出血多量、そしてその首筋にはまるで吸血鬼に牙で噛まれたかの様な穴が二つ空いていた。

ストーリー詳細(※ネタバレあり!!)

今回は遺伝子操作によって生まれた超人的な能力を持つクローンがテーマとなっています。 以下ストーリーを紹介していきます。

類似したかつての事件と手口

 冒頭でモルダーは1967年から34もの州で発生した牛が全身の血液を抜かれるという事件に言及する。 今回の事件と同じく被害に遭った牛は全身の血を抜かれ、首筋には二つの穴があけられていたという。 頸動脈に穴をあけると心臓がポンプ替わりになって血を送り出してくれるんだとか。 ただ人間の被害が確認されたのは今回が初めてだった。 不思議なことに犠牲者は血液を抜かれる間抵抗した形跡がない。 これは神経毒のジギタリスが盛られていたためであった。

 この猟奇的な事件は、目撃者が記憶を失い、地表が焼け焦げていたのでXファイルでは宇宙人関連とされている。 モルダーは今回の事件でも被害者の娘のティナが何も覚えていないのは宇宙人が関与しているせいだと考えていた。 またティナ自身が『赤い光を目撃した』『雲から人が来た』などと答えたため、モルダーはますます宇宙人関連であるという確信を深めていくことになる。

しかし、これが大きな誤算だった。

第2の事件

 モルダーとスカリーがティナに話を聞いていると第2の事件発生の報が届く。 今度はアメリカの反対側にある遥か彼方の町で事件が発生、モルダーとスカリーが現場へ向かうとまるでデジャヴのようにそっくりな現場と同様の手口が明らかとなる。 しかも犯行時刻まで全く一緒だった。 しかし、犯行内容が一般的な連続殺人犯の人物像とは全く一致しないことから、モルダーはさらに宇宙人関与説への確信を深めていく。

 ちなみに第1の事件が起こったコネティカット州グリーンウィッチ(グリニッジとも)とカリフォルニア州マリン郡がどれほど離れているかというと、なんと約4150㎞もの距離があります。 日本人にとってはわかりにくい距離感なのでグーグルマップで調べてみました。

 完全にアメリカを横断する感じになります。 東京と沖縄が約1500kmほどなので1往復半くらいありますね・・・。 アメリカは広い!!

 事件後母親の実家に行っていたシンディをモルダーとスカリーが訪ねると、ティナと全く同じ容姿の少女が現れる。 これにはさすがのモルダーとスカリーも驚きを隠せなかった。

浮上する謎の不妊治療医

 ティナそっくりのシンディだが、母親は間違いがいなく自分が産んだ子であると言い張る。 しかし、モルダーが話を聞くうちに体外受精で授かった子であることがわかり、スカリーは不妊治療が行われた病院へと向かう。 この病院で不妊治療を受け持った医師はサリー・ケンドリックという名の女医で、非常に優秀ではあったものの遺伝子操作を行った受精卵を勝手に患者へ着床させていたことが発覚し、医師会からは除名、病院からも解雇され姿を消していた。 さらにこの女医がシモンズ家の不妊治療も担当していたことが分かり、アメリカの東海岸と西海岸で別々に起こった事件が線で結ばれる。 ここにきてモルダーは宇宙人犯人説を放棄するに至る。 しかし、今度はどのようにして2か所同時に犯行が行われたのかという謎が残ってしまった。

浮上してきた謎の不妊治療医の存在

 突如モルダーのもとを訪れたディープスロートからかつて政府が推進していた『リッチフィールド計画』の情報がもたらされる。 リッチフィールド計画は優秀な遺伝子同士を掛け合わせることによって、さらに優秀な子供を生み出し、それらの子供を極秘の施設で育てるというものらしい。 ディープスロートがマジで便利おじさんすぎる・・・。

 この計画では男子はアダム、女子はイヴと名付けられ世間から隔離されて育成されていたが、遺伝子操作のせいで精神に異常を来たし殆どが自殺してしまったんだとか・・・。 こうしてリッチフィールド計画は失敗に終わり、生き残ったのがイヴ6号、7号、そして8号だったと。 仲間が死にゆくのを見るのはどんな気持ちだっただろうか。

 モルダーとスカリーがホワイティング医療刑務所に収容されているイヴ6号を訪ねると、その容姿はサリー・ケンドリックに瓜二つで二人はまたびっくり。 6号の独房の壁に貼られたイヴたちの子供時代の写真にはティナとシンディにそっくりな少女たちが何人も写っていた。 サリー・ケンドリックはリッチフィールド計画の終了後も不妊治療医として独自に計画を続行していたのだった。 ろくでもねぇ医者だなおい!

少女たちの誘拐

 ティナが児童養護施設から何者かによって誘拐され、その後シンディも自宅から誘拐されてしまう。 シンディの自宅を見張っていたモルダーは誘拐犯の顔を目撃しますが、それはイヴ7号、もしくは8号だった。 シンディの誘拐に成功したイヴはティナと引き合わせる。 ここでこの誘拐犯のイヴこそがイヴ7号でありサリー・ケンドリックであることが明かされる。

 イヴ7号はサリー・ケンドリックとしてリッチフィールド計画の欠点である精神疾患と殺人衝動を修正するために遺伝子操作を行った受精卵を移植していたのだった。 そして、ティナとシンディを生み出したが、結局彼女たちもまた同じ欠陥を抱えていた。 それどころかオリジナルのイヴは20歳まで殺人衝動が無かったのに対し、この二人は8歳にしてその症状が発現してしまっていたのだ! 父親たちを殺したのはティナとシンディだったのである。 しかも動機は『何となく』だって。 父親浮かばれないな~

 イヴ7号は勝手に遺伝子操作を行った受精卵を着床させるという問題行為を行っていたが、実はティナとシンディを投薬で何とか普通の人間に育てようという意思もあった。 しかし、その思いは通じずティナとシンディにジギタリスの毒で殺害されてしまう。

クライマックスへ・・・

 イヴ7号を毒殺したティナとシンディは、あたかももう一人イヴが現れて全員に服毒を強要させたかのように嘘をつきます。 そしてそのイヴが窓から逃走したように見せかけ、自分たちは飲むふりをしただけだったから助かったのだとモルダーとスカリーに話します。

 二人にまんまと騙されたモルダーとスカリーは二人を保護するため車に乗せます。 トイレ休憩で立ち寄ったダイナーで飲み物を購入しますが、他の皆がトイレに行っている間にシンディがジギタリスの毒をモルダーとスカリーの飲み物に混入させます。 たまたま机にこぼれていた毒を発見したモルダーがこのことに気づき事なきを得ます。

 ティナとシンディはイヴ9,10号としてイヴ6号のいるホワイティング医療刑務所に送られます。 そこにサリーの振りをしたイヴ8号が訪れます。

感想・解説(※ネタバレあり)

少女たちは最初から知っていた

 ティナとシンディは遠く離れていたにも関わらずお互いの存在を知っていました。 ということは二人の間に通じるテレパシーの様なものがあったのでしょう。 そのために同時に同じ殺人を行うことが可能であったと思われます。 しかし、そのテレパシーは6号、7号、8号は持っていなかったようです。 そのため7号が何かしらの変更を加えた遺伝子が作用したのかもしれません。 もっともそのせいでより精神的に不安定になった可能性もありますが・・・。

 恐ろしいのはモルダーが宇宙人説を推したがっていると気づき、それらしい証言をしたことでしょうか。 もしかしたら二人のテレパシーは他人の思考をある程度読めるのかもしれません。 ただ、ラストでモルダーに騙されて捕まっていたので完璧なものではないことは言うまでもないでしょう。 また、二人でエイリアン説を補強するような証言を合わせることができなかったことから、二人の間のテレパシーによるコミュニケーションもまた完璧なものではなさそうですね。

フィクションでのクローン

 クローン人間といえばSF作品では定番のテーマといえます。 スターウォーズのクローントルーパーは高い戦闘能力を持ったジャンゴ・フェットのクローンであり、共和国はそれらを兵士とすることで協力な軍団を作ろうとしていました。 アーノルド・シュワルツェネッガー主演の『シックスデイ』では記憶を抽出する機械と併用することで死んでもクローンの肉体で蘇ることができるという設定になっていました。

 このようにクローンの登場する作品は枚挙にいとまがありませんが、特に本エピソードと共通する点が多いのはスタートレックのカーン・ノニエン・シンではないでしょうか。 彼は遺伝子操作で生まれた改良人間であり、きわめて高い知能と人間を圧倒する身体能力を持っている一方で傲慢かつ狡猾な人間性をもっています。 また、こちらはクローンではありませんが、浦沢直樹氏の漫画『MONSTER』に登場するヨハンは、優秀な人間同士を組み合わせてさらに優秀な子供を産ませるという計画で誕生しました。 こちらもまた高い知力を持ちながら、殺人を屁とも思わないタイトル通りのモンスターとして描かれています。

 こういった人類を越える高い知力を持つ人々ならば、人間性も優れたものであってもいい気がしますが、今のところそういった描かれ方をしたフィクションはあまりないような気がします。

トリビア

  • シンディとティナはグレン・モーガンとジェームス・ウォンのそれぞれの奥さんの名前からつけられている。
  • 劇中でリアドン家が住んでいたカリフォルニア州マリン郡はサンフランシスコと隣接しており、ゴールデンゲートブリッジで結ばれている。
  • シンディの母親を演じているターシャ・シムズは、シーズン2第11話『不老』、シーズン3第21話『化身』にも出演している。

それでは!!

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