こんにちは、おのまとぺ(゜∀。)です。
今回はウルトラ警備隊のキリヤマ隊長のいぶし銀の活躍が見られる珍しい一本、『明日を捜せ』の感想・解説です!!
ウルトラセブン第23話『明日を捜せ』
登場怪獣:宇宙ゲリラ シャドー星人、猛毒怪獣 ガブラ
登場メカ・兵器:ポインター、ウルトラホーク1号、放射線透視装置、ウルトラガン、コルト ガバメント
脚本:南川竜、上原正三
監督:野長瀬三摩地
特殊技術:的場徹
放送日:1968年3月10日
キャスト
- キリヤマ隊長(中山昭二):地球防衛軍のエースであるウルトラ警備隊の隊長。優しさと威厳をもって隊をまとめ上げている。『何っ!?』が口癖。
- モロボシ・ダン(森次晃嗣):ウルトラ警備隊の隊員。その正体はウルトラセブンである。ウルトラアイを用いて変身する。
- フルハシ隊員(石井伊吉):ウルトラ警備隊の隊員で地球防衛軍きっての肉体派。北海道出身。
- アマギ隊員(古谷敏):ウルトラ警備隊の隊員。名古屋出身。兵器開発に長けており、様々な武器を作り出す。爆弾にトラウマがある。
- ソガ隊員(阿知波信介):ウルトラ警備隊の隊員。九州出身。射撃の名手。ダンと行動を共にすることが多い。
- 友里アンヌ隊員(ひし美ゆり子):ウルトラ警備隊の隊員。隊の紅一点。普段はメディカルセンターに勤務している。
- マナベ参謀(宮川洋一):隊長の上司。キリヤマの休暇願を受理し、身の安全を案じて拳銃を手渡す。
- 安井(木田三千雄):宇宙人に追われているという占い師。03倉庫が襲われ、隊長が負傷すると予言する。
あらすじ
ポインターでパトロール中のキリヤマとフルハシは衰弱しきった安井という占い師を発見する。 安井はうわごとの様に03倉庫が爆破されると告げ、また自分が命を狙われいてるという。 そこに一台のトラックが突進してきて安井の足に投げナイフを突き立てて逃走した。 基地に保護された安井は自分は占い師であるいい、改めて予言を告げる。 03倉庫が爆破され、キリヤマがケガをするのだという。 これを他の隊員が一笑に付すなか、キリヤマの表情は真剣であった。 03倉庫は地球防衛軍の動脈ともいえる施設だったのだ。 そして予言を信じたキリヤマは安井の言葉を元に2回捜索命令を出すがどちらも空振りであった。 この顛末を見たマナベ参謀はキリヤマを叱責する。 しかし、キリヤマの意思は固く、休暇願を出して一人捜索に乗り出すのだった。
[広告]感想・解説(ネタバレあり)
中山昭二さんのシブい演技が光るエピソードでしたね! 一度気になったらとことん追いかけずにはいられないというキリヤマ隊長の一つの側面にスポットライトを当てた回でした。 また当時すでにデビュー15年のベテラン俳優であった中山昭二さんをエピソードの主役にするにあたって映像面も気合が入っていた様に感じました。
ベテラン俳優陣の演技
キリヤマがスーツ姿で安井を捜し歩くシーンなんかとてもイイですよね! 浦野光さんの淡々としたナレーションが流れるなかスーツ姿のキリヤマが歩いているだけのシーンなのですが、歩き姿だけでこの威厳と迫力ですよ。(ちなみにこのスーツは自前だったそうです(※1)) さらにバックに夕日を据えた美しいカットなんかも入ったりして俳優とスタッフが一丸となって作り上げた感じが伝わってきます! また拳銃を携えて03倉庫を捜索するシーンでは陰影が印象的でフィルムノワールの様な映像になっています。 拳銃を出す時も顔の近くに銃を持って行ってフレームの中に銃と顔がしっかり入る様にポーズをとっています。 さすがベテラン俳優さんですね!
今回はキリヤマのセリフが多かったので内容に重厚感があり、サスペンス性の満ちた大人のドラマの様な雰囲気を纏っていました。 もちろん宇宙人が登場すれば特撮モノになるわけですが、こういったストーリーを支えるドラマ部分で特撮モノもガラッと雰囲気が変わるということがよくわかったエピソードでした。
ベテラン俳優といえば安井を演じた木田三千雄さんも味のある演技をされていました。 めちゃくちゃ胡散臭いのにどこか憎めないキャラクターで、命を狙われているためにウルトラ警備隊に必死で命乞いをする様子はちょっとコミカルであり、また同情をさそう役柄でした。 当時木田さんはNHKの『お笑い三人組』という番組に出演されていたそうで、アンヌ役のひし美ゆり子さんはテレビに出ている木田さんに会えたのがうれしかったそうです。(※2)
結構適当に戦ってしまうセブン
一方で今回ウルトラセブンの戦い方は見てて不安になるくらい雑な感じでした(笑) セブンの登場は最後の最期ですが、シャドー星人の円盤が秘密基地から脱出し、ダンとアマギのいた通路が崩れかけてしまいます。 がれきが当たって気を失ったアマギの横でダンがウルトラセブンに変身するんですが、狭い通路で変身したもんだから円盤の脱出以上に山を崩して登場します(;´∀`) あの、アマギ隊員が足元にいるんですが・・・。
そして近くを飛んでいた円盤をブッ叩いて盛大に墜落させます。 あの・・・円盤の中には安井が・・・( ;∀;) しかし、安井さんは殊の外頑強な体の持ち主だった様でピンシャンしててよかった!
そのあとはガブラの生首攻撃をかわしますが、直後に同じ手を喰らって毒を注入されてしまいます。 安井があんなに警告してたのに・・・。
と、セブンはちょっとヌケた感じの戦いでした(笑) そういえば珍しくキメ技がハンドビームでしたね!
キリヤマ隊長の人間関係
キリヤマ隊長とまわりのキャラクターの関係性というのは他のエピソードではそこまで触れられていません。 しかし、このエピソードでは隊長を囲む人間関係も描かれていました。
まず一番アツかったのはマナベ参謀との関係性ですね。 マナベ参謀は普段少ししか登場せず、命令するか失敗をとがめるかくらいしか劇中で見かけるアクションがありませんでした。 しかし、このエピソードではキリヤマを叱責したのちに、キリヤマが休暇願を出しに来ると笑顔でこれを受け入れます。 そして『頑固だな。相変わらず。』と長い間関係があることを感じさせるセリフを言います。 さらにはおそらく単身捜査に乗り出すキリヤマの身を案じたのでしょう、私物であろう拳銃をキリヤマに手渡します。 こういう信頼関係をあまり多くないセリフで描くシーンってステキですよねぇ(゚∀゚)
続いてはダンとの信頼関係です。 本エピソードは23話ということでシリーズ中盤にあたりますので、第1話では謎の風来坊だったダンともかなり信頼関係が築かれています。 それを端的に示しているのがダンが一週間の宇宙パトロールから帰ってきたあと、ことの顛末を聞いて迷わず隊長のもとへ向かうところですね~。 また倉庫にダンが現れ『隊長と一緒に明日を捜したくなりましてね』と告げたあと、キリヤマが頬を緩めるシーンなんか泣かせますよね! 隊長を信用せず基地に残っていた他の隊員以上にダンとキリヤマの信頼関係は強固になっていたということなんでしょう!
シャドー星人のコスプレショー
闇夜をさまよう安井を捕まえるためにシャドー星人が待ち伏せをするのですが、その手法が非常に凝っていますw まずすすり泣く女性役が地球人の女性の服を着て、柱の陰ですすり泣いています。 でも顔はシャドー星人のまんま。
続いて安井が逃げ込んだガソリンスタンドには汚れた作業服姿のシャドー星人がわざわざ帽子まで被って待っています。 しかも仕事をしているフリまでしてるw 体格がいいのできっと男のシャドー星人なんでしょうが、やっぱり顔はそのまんま。
そしてさらに安いが飛び乗ったタクシーには運転手の格好をしたシャドー星人が載っています。 『どうしたんですお客さん?』なんて流ちょうな日本語まで披露します! きっと沢山練習したんでしょうが、ルームミラーに映るその顔はやっぱりシャドー星人のまんまw いろんな職業の格好してますけど、地球はキッザニアじゃないんだぞ!!w
安井一人捕らえるのにここまでする必要があるのか怪しいところですが、異星人のコスプレショーみたいなものとして楽しむのが吉。 また顔が全員そのまんまなのは、ピット星人やゴドラ星人の様に上手に変身できない宇宙人には色々苦労があってのことなのでしょう・・・。 でもシャドー星人は透明化できますからね!そこはすごいですよ!(突然のヨイショ)
キリヤマの拳銃
これはミリオタの戯言と思って流し読みしていただければ結構なのですが、キリヤマの持っている拳銃はかの有名なコルトガバメントです。 しかし、ちょっと調べてみてもモデルがよくわかりませんでした(;´∀`) マナベ参謀が渡すシーンでグリップの部分にはっきりとメダリオンが映っているのですが、放映が1968年なのでプレ70と呼ばれるモデルのガバメントだと思われます。 しかし、その当時はグリップにメダリオンが標準で入っているものはどうもなさそうなんですよね。 さらにハンマーは当時そんなに無かったであろうリングタイプに交換されているので、マナベ参謀が実は結構銃好きで自分でカスタムしてた可能性がありますね(笑)
あと、倉庫でもキリヤマはこのガバメントを携帯していますが、一瞬ブローニングハイパワーらしき銃に変わっているシーンがあります。 さらにそのあとはガバメントに戻りますがマガジンが入ってません(汗) 探してみてくださいね~(゚∀゚)
それでは!!
出典
※1,2 小学館『ダンとアンヌとウルトラセブン: ~森次晃嗣・ひし美ゆり子 2人が語る見どころガイド~』P.52
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