【あらすじ・ネタバレ・感想】『花の兄弟』(大映/1961年)

こんにちは、館主のおのまとぺでございます。

本日は市川雷蔵と橋幸夫共演の時代劇『花の兄弟』の紹介です。

作品情報

  • 公開日:1961年12月27日
  • 上映時間:86分
  • 配給・制作:大映

あらすじ

青山市之進は父の仇・相坂伊織を討つため十年越しの旅に出ていた。 ここにきてある親分が十年前に用心棒として相坂を雇ったという情報を得る。 市之進は仇の行方をつかむため右も左もわからないヤクザの世界へ入りこむが、そこには実の弟・新次郎がおり自分の兄貴分となった。 渡世人の言葉遣いも仁義のきり方もわからない市之進は弟のもとでヤクザ修行に励むのだった。

スタッフ

  • 企画 – 高森富夫
  • 脚本 – 笠原良三
  • 監督 – 池広一夫
  • 撮影 – 本田平三
  • 音楽 – 吉田正
  • 美術 – 加藤茂
  • 照明 – 伊藤貞一
  • 録音 – 海原幸夫
  • スチル – 松浦康雄
  • 編集 – 西田重雄

登場人物

  • 青山市之進(市川雷蔵):この十年父の仇を探して諸国を放浪する浪人。 身謹厳実直な侍であるが仇の行方を探るため大津一家でヤクザとなる。
  • 青山新次郎(橋幸夫):市之進の実弟で大津一家のヤクザ。 一家に加わった一之進を厳しく鍛える。
  • 大津勘右衛門(石黒達也):大津一家の親分。 娘思いで荒事を嫌う。
  • お玉(水谷良重): 勘右衛門の娘。 新参者の市之進に徐々に心を寄せる様になる。
  • お美津(姿美千子):造酒屋の娘で新次郎と恋仲にある。 父親がヤクザ嫌いなので堅気になってほしいと願っている。
  • 金平(森川信):大津一家の一人。 市之進に何かとちょっかいを出しては失敗する。
  • お仙(若水ヤエ子):ガマの油売りをしていたが、市之進に惚れて居酒屋の給仕に転職する。
  • 平兵衛(茶川一郎):宿屋の主。
  • 横木の剛八(千葉敏郎):大津一家のライバル格である
  • 平田外記(伊達三郎):横木の客分として草鞋を脱いでいる浪人。 実質用心棒。
  • 薮の下源五郎(東良之助):親分の一人。 勘右衛門から便りにされていたが、その裏で横木と通じ縄張りを取り上げることを画策している。
  • お千代(小町るみ子):大津一家の女中。 お玉にの身の回りの世話をしている。
  • 助太郎(舟木洋一)
  • 富五郎(水原浩一)
  • 小泉角之進(寺島貢)
  • 文治郎(原聖四郎)
  • のみ屋の主人(横山文彦)
  • 猿廻し(岩田正)
  • 旅館の番頭(三浦志郎)
  • 三ン八(越川一)
  • キー坊(三上哲)
  • 小熊(沖時男)
  • 乾分松公(安田祥郎)
  • まむしの伝次(浜田雅史)
  • 大虎(愛原光一)
  • 旅館の女中(松岡信江)
  • お吉(滝のぼる)
  • 女房お才(小柳圭子)

感想

セリフに横文字が出てきたり、登場人物が現代の言葉で話していたりと割とライトな時代劇です。 橋幸夫さんの歌がふんだんに盛り込まれていますし、BGMが同様だったり結婚行進曲だったりと時代劇とはかけ離れた演出がなされていることを考えると、十代から二十代くらいの若者向けの映画だったのかと思われます。 そのターゲット層に合わせたためか殺陣は少なめに抑えられ凄惨な表現も少なく、明らかに人が死ぬ描写もほとんどないので子供でも安心して観られます。

市川雷蔵と橋幸夫が似てる!!

この映画では市川雷蔵さんと橋幸夫さんが兄弟を演じていますが、二人とも顔が似てらっしゃる! 兄弟役にはぴったりですね!! 劇中ではその似た容姿をいかした展開もあります。 お二人はこの作品以外にも『おけさ唄えば』で共演し、市川雷蔵さん主演の『沓掛時次郎』では橋幸夫さんが主題歌を歌っています。 橋さんの公演に雷蔵さんが駆け付けるなどプライベートでも親交があったそうです。

1961年の流行語

先述したとおりこの作品は若者向けに作られたと思われる根拠として流行語が使われていることが挙げられます。 『トサカにくる』というワードが劇中で使われてますが、これは当時流行していた『東京のお姐ちゃん』という映画で使われたことから流行したそうで、『頭にくる』を強めた意味だそうです。 確かにトサカは頭より上にありますね(笑)

また、酒蔵での殺陣のシーンでは登場人物たちが斬りあいながらスーダラ節を歌うという演出があります。 これは言わずと知れたクレージーキャッツの大ヒット曲であり、ちょうどこの映画が公開された1961年の夏にリリースされています。 この殺陣の最中金平が『すまん』と言いながら林家三平の『どうもすいません』のポーズをしているのも見受けられます。

※ここからネタバレあり

ストーリーは正直特筆するものはないよくあるタイプのものです。 かたき討ちに奔走する主人公、その主人公の面倒を見ていた親分が実は親の仇その人だったという展開は他にも観たような気がします。 しかし、市川雷蔵さんと橋幸夫さんのスター性と池広一夫監督によるテンポのいい展開で、純粋に楽しめる娯楽作品になっています。

流行語の仕様、最期の大団円の歌と踊りなどを見る限りかなり若年層を狙っている感が強く、本格的な時代劇を期待するとかなり肩透かしを食らいます。 若水ヤエ子さんは当時人気だった女性芸人だそうですが、声がはっきりしていてセリフが聞き取りやすく方言も面白くていいですね。 ガマの油売りのシーンや居酒屋で管を巻くシーンは必見です。

それでは、また。

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