【あらすじ・感想】『拳銃(コルト)は俺のパスポート』(日活/1967年)

こんにちは、館主のおのまとぺです。

今回は宍戸錠さん主演のフィルムノワール『拳銃(コルト)は俺のパスポート』のレビューです。

解説・感想(※ネタバレあり)

 この作品は石原裕次郎さんのスキーでの事故、そして赤木圭一郎さんのカートによる事故死以降、日活ダイヤモンドラインの一角を担っていた宍戸錠さんが主演のハードボイルド作品です。 テレビ番組ですらカラー作品が増えていた1967年の作品であるにも関わらず、本作が白黒で撮影されていることからもわかる通り低予算の映画だったそうです。 しかも撮影期間はたったの2週間。

 そういった事情もあってか私はこの作品のタイトルをAmazonプライムのオススメで見かけるまで知りませんでした。 特に期待せずに何となく再生したところ、その邦画らしからぬ描写に驚かされることになりました。

男心をくすぐる狙撃シークエンス

 本作での見どころの一つは何といっても銃の射撃シーンですが、その中でも白眉だったのが敵対する大物フィクサーの島津を狙撃するシーンですね。 島津が訪れる茶屋を狙撃できる位置にあるアパートの一室に陣取り、狙撃の準備を進めていきます。 このシーンが非常に燃えます!!

 持ち込んだスーツケースを開け、中に分解された状態で収納されているライフルを手際よく組み立てていきます。 最後にマガジンを叩きこんでライフルの準備が完了すると、窓を少し開けて一服・・・と思いきやこれも煙で風向きを読むための仕掛けになっています。 そしてこのタバコも一服が終わるとポイ捨てせずに持ち帰ります。 首尾よくターゲットに3発の銃弾を撃ち込むとスクラップヤードへと赴き使用したライフルを車と一緒に処分します。 施条痕から得物を特定されるのを防ぐためであることを指紋に例えて本人が説明しています。 この証拠を残さないという姿勢が主役の上村の仕事へのこだわりを際立たせています。

邦画史に残る最終決戦

 大田原・島津連合と決着をつける最後の戦いは殺風景な空き地で行われ、派手さはなく少人数で規模は大きくないものの、まるで西部劇の様な緊迫感のある”間”が活かされた仕上がりになっています。 またここでも上村のプロフェッショナリズムと機転が描かれています。 時計店で時計を購入したり、決戦の場に事前に穴を掘っておいたり、上村はいろいろな準備を進めていきます。 これらのシーンは視聴者に『一体何の準備なんだろう?』と興味を持たせることに一役買っています。 これらが決戦のシーンの伏線になっているんですね。 また、こうして準備段階を具体的に描くことで、上村がフィクションでありがちな”なぜか弾が当たらない無敵の主人公“ではなく、しっかり準備をしたことで勝利を手にする”プロフェッショナル”であるということが表現されているように感じました。

相手の裏をかく主人公の機転

 空港で島津の手下に捕まり車に乗せられますが、それを見越して後部座席にブレーキを着けており、これを用いて窮地を脱します。 これも事前に自動車工場でブレーキの取り付けを依頼していたことが描写されており伏線になっています。

 また自分たちの宿舎が襲撃されるであろうことを見越して別の場所に宿泊したり、港で待ち伏せされることを見越して大型トラックで車ごと突っ込んで敵を海に沈めるなど、『ついにここまでか!?』と思わせながらその裏をかいていくという主人公の活躍に映画が終わるまで目が離せません。

 その他、上村と塩崎の間の男の友情、 薄幸な美奈のはかない思い、 権謀術数の渦巻く大田原組と島津組の駆け引きなど多くの見どころがある作品でした。 あと、日活定番のギターと歌もあります。 プロの歌手でもあるジェリー藤尾さんが一曲聴かせてくれます。 

 

ハリウッドでリメイク決定!!

なお、この『拳銃(コルト)は俺のパスポート』ですが、なんとハリウッドでリメイクされることになりました!!

宍戸錠主演「拳銃は俺のパスポート」をギャレス・エバンス監督がリメイク

監督はギャレス・エバンズで、主演はショペ・ディリスという英国の俳優さんだそうです。 また、共演には名優ティム・ロスも名を連ねています! まさか約60年の時を経て、海の向こうでリメイクされるとはびっくりですね!!

それでは!!

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