【あらすじ・ネタバレ・感想】『喜劇 特急列車』(東映/1967年)

こんにちは、館主のおのまとぺでございます。

本日は渥美清さん主演の鉄道コメディ『喜劇 特急列車』のご紹介です。

作品情報

  • 公開日:1967年6月3日
  • 上映時間:90分
  • 制作・配給:東映

あらすじ

国鉄の車掌・青木吾一は寝台列車『さくら』の専務車掌。 運行中は乗客に気を配り、後輩にも厳しく指導をするマジメな車掌であった。 ある日東京発・長崎行の列車で、いつも通り車内改札を行っていると知っている顔に出会った。 かつて憧れていた女性・鞠子だ。 彼女は夫と別れるために一人長崎へ行くのだという。 吾一は内心喜びつつも彼女へ東京へ帰る様説得する。 その後、街中で偶然鞠子と再会した吾一は、彼女を連れ上機嫌で長崎の町をあちこち案内するが、『死んだ父と一緒にいるみたい』と言われあえなく撃沈。 さらに、東京へ帰宅すると鞠子からもらったお礼の手紙を見た妻のきぬ子が不倫と勘違いし、吾一の乗務する列車へ乗り込んできてしまう。 困った吾一だったが、追い打ちをかける様に社内でトラブルが発生するのだった。

スタッフ

  • 監督:瀬川昌治
  • 製作:大川博
  • 脚本:舟橋和郎
  • 企画:秋田亨 、 加茂秀男
  • 撮影:飯村雅彦
  • 音楽:木下忠司
  • 美術:北川弘
  • 編集:祖田富美夫
  • 録音:小松忠之
  • スチール:加藤光男
  • 照明:元持秀雄

キャスト

  • 青木吾一:渥美清
  • 塚田毬子:佐久間良子
  • 老機関士:西村晃
  • 今井:小沢昭一
  • 駅長:左卜全
  • きぬ子:楠トシエ
  • 特急:加藤順一
  • さくら:丸山紀美恵
  • つばめ:大森不二香
  • ふじ:坂本香織
  • 古川勇作:鈴木ヤスシ
  • 遠藤洋子:大原麗子
  • 岡島:関敬六
  • 相席の客:宮城けんじ
  • 新郎:東けんじ
  • 新婦:田沼瑠美子
  • あけみ:根岸明美
  • 銀子:桜京美
  • ユリー:佐々木伊都子
  • マコ:天野女津子
  • 美加:真木亜紗子
  • 光子:田島薫
  • スリの男:三遊亭歌奴
  • スリの男の情婦:三原葉子
  • 塚田:江原真二郎
  • 若い妊婦:桑原幸子
  • 若い妊婦の夫:北川恵一
  • 坊や:石崎吉嗣
  • 坊やの父親:村上不二夫
  • 坊やの母親:川尻則子
  • 国枝:鳴門洋二
  • 犬塚:岡崎二朗
  • 長崎の店員:日吉順子
  • コック:打越正八
  • 変った乗客A:酒巻輝男
  • 変った乗客B:水野崇
  • ウェイトレスA:黒川弘子
  • ウェイトレスB:大和田恵美子
  • 宿舎のおばさん:谷本小夜子
  • 乗客掛:木村修
  • 操縦助役:小塚十紀雄

感想

今はほとんど見かけなくなった寝台特急を舞台にした人情コメディでした。 爆笑する様な映画ではありませんが、渥美清さんのコミカルながら落ち着いた演技がクスリときます。 また、鉄道についてのマニアックな描写が多々あり、鉄道好きの方にはそこも楽しめるポイントになるのではないかと思います。 劇中、ちょっとだけ新幹線の0系が登場しますが、本作では脇役だった新幹線が将来的には主役の寝台特急を滅ぼす一因になったと思うと複雑な思いになりますね。

アニメーションを用いたポップなオープニングも印象的です。 劇中にも登場する『さくら』が東京駅を出発して長崎駅へと向かいます。 その地の名物がイラストになっていて、見ていて楽しいよくできた映像になっています。 ここに渥美清さんの歌が入り、ほのぼのとしたオープニングでした。

作品は、前半は青木吾一がかつて勤務していた列車で顔なじみの乗客だった鞠子とのお話がメイン、後半は鞠子との不倫を疑った妻のきぬ子が電車に乗ってきて車内で起こる騒動を一緒に解決するといった展開でした。 基本電車内ではいつも何かしらの騒動が起こっていて始終賑やかです笑 吾一を中心に、後輩や大先輩のOB、スリ、乗客の少年、妊婦さんなどいろいろな登場人物と物語を展開していきます。

しかし、大原麗子さんは画面に登場すると、一瞬で目を奪われますね。 『柳生一族の陰謀』でもそうでしたが、美貌だけではない魅力にあふれた女優さんですね。

渥美清さんの演技

今回渥美清さんが演じたのは専務車掌という列車で一番偉い車掌さんでした。 それだけに青木吾一というキャラクターも、寅さんの様に喧嘩っ早かったりすぐどこかへ行ってしまうようなフーテンではなくちゃんとした社会人です。 ただ、しっかりしている様でスピーカーが入ったまま独り言をつぶやいてしまい、車内全員に独白を聞かせてしまう様なおっちゃこちょいなところがあったり、久々に再会したマドンナ的女性に夢中になってしまったり寅さんに通じる要素もありました。 ただ、青木吾一の場合は既婚者なのでそこは大きな差ですね。

ちょいちょい挟まれるコミカルな演技の安定感が素晴らしく、『自分の間違いや失敗をとぼけてごまかす』『奥さんと会話した後に一言毒づく』といったシチュエーションの演技がすばらしいです。 わざとらしくなってしまいそうなセリフでも自然にサラリと言えるのはさすがです。

また、劇中で感動的なエピソードが挿入されますが、ここでの演技もすばらしいです。 手術を控えた少年を勇気づけるため、寝台にいる少年に機関車のエピソードを交えて優しく語り掛けます。 渥美さんのやさしい語り口に引き込まれてちょっと目頭が厚くなりました。 心の通った演技に胸を打たれます。

それでは、また。

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