こんにちは、館主のおのまとぺでございます。
今回は増村保造、白坂依志夫、若尾文子のトリオによる傑作映画です。 元気が出ない時に是非観ていただきたい一本です。
- 公開日：1957年10月8日
- 上映時間：88分
- 配給・製作：大映
あらすじ
四人兄弟の3人目の有子は、なぜかほかの兄弟と離され祖母の手によって田舎で育てられていた。 高校卒業の時を迎えた彼女を 東京にいる父が迎えることになるが、祖母が急病で倒れ今際の際で他の兄弟とは母親が違うことを聞かされる。 その後祖母は亡くなり有子は上京するが、東京の家でひどい仕打ちを受ける。 しかし、彼女は腐ることなく力強く前向きに生き、恩師の桂吉や東京で知り合った良輔の力を借りて実の母親を探し始める。
スタッフ
- 監督：増村保造
- 脚色：白坂依志夫
- 原作：源氏鶏太
- 企画：藤井浩明
- 製作：永田雅一
- 撮影：高橋通夫
- 美術：柴田篤二
- 音楽：小杉太一郎
- 録音：須田武雄
- 照明：久保田行一
キャスト
- 小野有子(若尾文子)
- 二見桂吉(菅原謙次)
- 広岡良輔(川崎敬三)
- 広岡静江(東山千栄子)
- 小野栄一(信欣三)
- 小野達子(沢村貞子)
- 小野照子(穂高のり子)
- 小野正治(品川隆二)
- 小野弘志(岩垂幸彦)
- 三村町子(三宅邦子)
- 八重(ミヤコ蝶々)
- 哲吾郎(南都雄二)
- 米川信子(八潮悠子)
- 津村順子(藤田佳子)
- 稲川育子(矢島ひろ子)
- 竹中(田宮二郎(柴田吾郎))
- 村田(伊藤直保)
- 井上(高田信二)
- 有子のお婆さん(滝花久子)
感想
素晴らしい作品に出会えました・・・。 これが観終わって最初に思ったことです。 ひたすら前向きで回りの人々まで変えていく有子の姿に心打たれます。 明日から自分も頑張ろう、自分の青空を見つけようと前向きな気分にしてくれます。 人間それぞれ学業だったり仕事だったり恋愛だったり育児だったりと、様々なことをそれぞれのライフステージで悩んでいると思います。 そんな多くの悩める方にこの作品を観ていただけたら、きっとちょっと元気になれんじゃないかと思います。 私も恐らくこれからも元気が出ない時には、繰り返し何度も観ることになると思います。 自信をもってオススメする作品です。
前向きな主人公に自分まで元気になる
有子は決していい境遇で育ってきたとはいえません。 故あって兄弟とは別に田舎で育てられ、東京へ出てきたあともヒドイ扱いを受けます。 見ているこっちのむかっ腹がたってくるほどのものですが、本人はどこ吹く風で笑顔で一生懸命自分の仕事をこなしていきます。
まわりからも『不憫だ』『可哀想だ』といわれますが、それに対して本人は『そぉ？』と実に前向き。 このエネルギーはどこからやってくるのか劇中で本人が説明してくれるので観てみてください。
正に青空の様な若尾文子さん
最初の制服姿やブラウスにスカートの姿が青空や海と相まって鮮烈な印象を残します。 若尾さんは本当に美人ですね。 現代でもその美貌が色あせることはありません。 しかし、弟の弘志は有子と取っ組み合った後に服についたホコリをはたいていますが、ちょっとそんなとこ触るんじゃありません。 まだ子供だからって許しませんよ、コラコラ。
※ここからネタバレあり
『本気になれ』有子の痛烈な説教
ラストの有子の説教は痛烈です。 語り口は決して責める様ではなく、あの美貌に穏やかな笑顔すら湛えていますが、その内容は実に痛快であり、また自分に置き換えると胸に刺さります。 『自分の母・町子を捨てたのならそれは本気ではない。 ならば自分の妻を本気で愛せ。』 これを町子の娘である有子が父親に告げるのは並大抵のことではありません。 また、彼女の『本気になれ』という父へのメッセージは、兄に音楽の道を進ませ、姉に結婚相手を真剣に選ばせることになります。 あれほど前向きなさよならのシーンは観たことがありません。 このシーンこそが『自分も本気で頑張らなくちゃ』という気持ちにさせてくれる最大のエンジンです。
それでは、また。