【感想】『宇宙人東京に現わる』(大映/1956年)

こんにちは、おのまとぺ(゜∀。)です。

今回は1956年の特撮映画『宇宙人東京に現わる』を鑑賞しました~

作品情報

  • 公開日:1956年1月29日
  • 上映時間:82分

あらすじ

城北天文台の磯部助手は、或る夜雲の切れ間に不思議な形をした謎の発光体を発見。そして、世界各地でUFOが目撃され、ヒトデ型の宇宙人が東京を襲った!

恐怖におののく住民たち!パイラ人と名乗る宇宙人は、何の目的でやってきたのか?

折も折、死の惑星“R”が地球に接近。人類最大のピンチを救うカギは松田博士の発見した方程式にあったが・・・。

角川映画公式HPより

スタッフ

  • 監督:島耕二
  • 製作:永田雅一
  • 脚本:小國英雄
  • 原案:中島源太郎
  • 規格:中代富士夫
  • 美術:間野重雄
  • 特撮:的場徹
  • 色彩指導:岡本太郎

キャスト

  • 磯辺直太朗:南部彰三
  • 磯辺徳子:目黒幸子
  • 磯辺徹:川崎敬三
  • 小村芳雄:見明凡太郎
  • 小村多恵子:永井ミエ子
  • 松田英輔:山形勲
  • 松田清子:平井岐代子
  • 天文台通信係:フランク熊谷
  • 高嶋博士:河原侃二
  • 青空ひかり / 天野銀子(パイラ人): 苅田とよみ
  • 平野健一:小原利之
  • お花:岡村文子
  • 三吉:渡辺鉄彌
  • パイラ人第二号:八木沢敏
  • パイラ人第三号:夏木章
  • パイラ人第四号:津田駿二
  • 紳士振った男:斎藤紫香
  • 船員:原田該
  • 泥客:泉静治
  • 芸者:花村泰子
  • 用心棒:谷謙二
  • 新聞記者:杉田康
  • 警部:早川雄二

感想(※ネタバレあり!!)

地球に巨大天体が地球に迫り、人類に滅亡の危機が訪れるという設定のSFでした。 『妖星ゴラス(1962)』に似たコンセプトですが、『宇宙人東京に現わる』の方が6年ほど古く、また友好的な宇宙人が警告に現れるという点で大きくことなります。 宇宙人が地球人に化けるというのも当時は新鮮な設定だった様です。 パイラ人が徐々に地球人に変身していくシークエンスは面白い画になっています。

特撮の点においては、町のミニチュアや川が氾濫するシーンなどの完成度は東宝特撮に譲るものの、天野銀子がテニスをやっているときにハイジャンプをするところなどは非常に自然な仕上がりになっており高い技術力をうかがわせます。 この作品の特撮は的場徹氏が担当しており、のちウルトラシリーズなどでも特撮に参加される方です。 のちの作品としてはバルタン星人の分身および分身解除のシークエンスが白眉です。

1950年代の様子

映画の内容とは直接関係ありませんが、特撮映画ということで街並みの映るシーンも複数あり、当時の様子を知ることができるのも面白いですね。 また、街並みのみならず当時の生活が垣間見えるのは好奇心を刺激されます。 自分にとっては親すら生まれていない時代なのですべてが新鮮です。 以下にきになったところをつらつらと書き連ねてみようと思います。

■まさかの高井戸駅

映画冒頭で行き先が『渋谷-吉祥寺』となっている電車が到着する駅は、京王井の頭線の高井戸駅だそうです。 劇中では新町という駅名になっています。 ホームには蛇の目をもった着物の女性が立っているし、ホームの奥には田んぼが広がっているし、これが高井戸の風景だとは到底信じられないですね。 階段の横には『三菱銀行』と『三和銀行』の看板がしのぎを削る様に立っていますが、この映画の公開からちょうど半世紀後の2006年に東京三菱銀行とUFJ銀行が合併することで同じ銀行となります。

■多恵子さんに叔母が縁談を持ち掛けるところ

原題は恋愛結婚至上主義みたいなところがあり、お見合いという単語はほぼ死語になりました。 このころはご縁談を親戚が持ってきたりしてたんだなぁ。

■ラジオの月賦販売

UFOが接近しラジオの調子がおかしくなるシーンで、新聞記者が『ラジオの月賦』という発言をしています。 何のことかと調べたら、当時ラジオを普及させるにあたって月賦販売が多く行われていたそうです。 当時は高級品だったんですねぇ。 京都大学で研究されている方がいました(下のリンクを参照)
https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/45144/1/10159404.pdf

■自宅に電話がない

小村博士への連絡にいちいち三河屋さんの電話を使っていますが、当時固定電話がない家も結構あったみたいですね。 現代では固定電話すら廃れてスマホの時代になっていますので、連絡が自由に取れない状況というのがなかなか想像できません。

■避難民たちの服装や町の様子

幼稚園に子供を預けて避難する夫婦の服装が終戦からまだそう時間がたっていないことを感じさせます。 旦那さんがゲートルを巻き、奥さんがモンペ、二人でカーキ色の背嚢と戦時中の様な格好をしています。

また、避難民の殺到する町中のシーンでは、オート三輪に家財道具を載せて避難していたり、その前をボンネットタイプの救急車が走っていたりと昭和を感じさせる乗り物が見られます。

そのあとのシーンでは蒸気機関車もあらわれます。 C11型という戦前から使われているタイプの機関車です。 映画に登場するのはC1167という個体ですね。 調べたところこの車両は水道局が小河内ダム建設のために敷いた路線である小河内線で使用されていた様で、奇しくも本作品公開と同じ1956年に事故を起こし廃車となっています。

『デゴイチよく走る!』様にC1167の詳細が載っています。
http://d51498.com/db/C11/C1167

■ラジオのアナウンサー

自分で鉄琴叩くんですね。 ミスったら恥ずかしいだろうな・・・。

■東京駅駅舎の安心感

街並みは大きく変わっていますが、東京駅の駅舎だけは変わりませんね。 知らない町を旅した後に地元へ帰ってきたかの様な安心感があります。 あと、神宮外苑の並木道によく似た場所も出てきます。

■原子力

パイラ人が原子力の平和利用について言及していますね。 当時は冷戦中であり核の脅威が世界を覆っていた時代です。 原子力を兵器として活用するのではなく、平和利用することこそが桃源郷への道だと信じていたのでしょう。 しかし、3.11を経験した今の日本人にはそう単純に同意できる話ではなくなってしまいました。 あらためて東北大震災の及ぼした影響というものを感じずにはいられません。 あれこそが現代日本にとっての新天体Rでした。 しかし、残念ながら現実にはパイラ人はいません。 自分たちで考える他ないのです。

辛辣でちょっとヌケてるパイラ人

今回友好的な宇宙人として登場するパイラ人ですが、地球人の外見に関しては結構辛辣なことをいってます笑(上の画像参照)

そんなパイラ人ですが、宇宙のかなたの他人である地球人を救うためにわざわざやってきてくれました。 外宇宙から地球まで辿り着けるほどの科学力を持ち、赤の他人を救うほどの道徳心も持ち合わせた彼らですが、ちょっとヌケてるところがあります。

人間界に紛れ込むためせっかく人間に化けたのに、化けるときに参考にしたのが有名人だったせいで騒ぎになったり、テニスをしているときに人間離れしたジャンプをして怪しまれてしまったり、ドアを開けて部屋に入ればいいものをわざわざ特殊能力ですり抜けてみたりと『やめときゃいいのに・・・』ってことを色々やって早々に招待がバレます。 ただ、彼らにしてみれば自分たちの警告を人間が逃げずに聞いてくれればそれでいいワケなので、当初の目的は達成しているんですけどね笑

その他

青空ひかりを演じていた新人の苅田とよみさんですが、残念ながら十本ほど出演作を残して消えてしまった様です。 その父親はセネタースで名内野手として活躍した野球選手の苅田久徳さんだそうです。

また、もう一人の新人、小村多恵子役の永井ミエ子さん。 笑顔のとてもチャーミングな女優さんですが、ネットで検索しても出演作が3本程度しか見つからず早い段階で廃業されてしまった様ですね。 美人な女優さんなので残念です。

南部彰三さんは大栄映画ではおなじみの老け役俳優さんですが、現代劇で見たのは初めてでした。

参考にさせていただいたブログ様

『映画が中心のブログです!』様

なんと実際に映画業界にいらっしゃった元大映社員の方が運営されているブログ様です。 当時の大変貴重な写真やエピソードがたくさん書かれているほか、最近の映画についても邦画・洋画問わず元映画会社の方ならではの視点で評価をアップされていらっしゃいます。 これからもお世話になります!

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